梅屋敷診療所

内科・呼吸器科・アレルギー科

東京都大田区大森西6-15-16
TEL 03-3761-8808
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院長ブログ

NOについて

当院を初めて受診する方の9割は、咳嗽(セキ)の患者さんです。大半の方は、他医院での処方、もしくは市販薬で治らなかったために来院されています。当院では、問診表の内容に力を入れているため、問診表記載の段階でほぼ診断が可能と自負しておりますが、医師だけが納得しても、肝心の患者さんが納得しなければ、わざわざネットで調べて受診して頂いた意味がないと思っています。咳嗽は、発症からの経過によって3段階に分けられます。3週間以内が急性、3から8週までが遷延性、8週以上が慢性と区分されています。多くの患者さんは、発症から3週間以内に来院されているので分類上は急性咳嗽です。しかし、その中には、今後遷延性もしくは慢性咳嗽に進展していく疾患も含まれていますが、それらは、問診表から鑑別が可能です。それ以外の急性咳嗽の大半はウイルス感染です。平たく言えば風邪なのです。風邪ですと言えば安心される方が大半なのですが、大切な事はそれを証明するために、重大な病気を除外しなければなりません。問診表でグレーだった部分をクリアーにするための手段の一つがNOの測定なのです。NOとは、一酸化窒素のことです。当院で実施している検査は、呼気中のNOを測定しています。気管支喘息の場合、主にNOは、気道上皮、炎症細胞が産生します。さらに呼気中のNO値は、好酸球数と正の相関を示します。すなわち、呼気中のNO値が高いことは、イコール好酸球が多く存在するということが言えます。血液は、赤血球、白血球、血小板に分類されます。さらに、人間に例えるならば、人間も白色人種、黄色人種、黒色人種に区別されるように、白血球もいくつかの細胞に分類され、好酸球は白血球を構成する細胞の一つです。各々の細胞には役割分担が決まっていて、好酸球はアレルギーを担当する重要な細胞です。NOの数値が高いということは、この細胞の活動が活発ということになり、アレルギーの病気が潜んでいることを暗示しています。逆に、NOの数値が低ければ、好酸球の活動性は低く、アレルギー疾患は除外できる可能性が高く、診断がしぼられ、患者さんの安心にもつながると考えています。当院では、今後もNOの測定を使って咳嗽の的確な診断を目指したいと思っています。

2018/08/22

 

咳を止めるには?

咳を止めるには、咳の原因を究明することが重要です。咳の原因の大半は、呼吸器疾患です。代表的には気管支喘息、呼吸器感染症、肺癌、慢性閉塞性肺疾患ですが、その他の呼吸器疾患でも出ます。中でも危険なのは、肺塞栓症、気胸なのではないでしょうか。この疾患で咳が主訴とは思いもつかないのですが、まれに咳を主訴として来院することがあり、注意が必要です。呼吸器専門医にとっては、呼吸器疾患を鑑別することには労力をあまり必要としないのですが、咳の原因は呼吸器疾患だけとは限りません。消化器疾患、耳鼻科疾患でも咳が出ます。消化器疾患で慢性咳嗽(セキ)の代表疾患の逆流性食道炎は、頑固な咳が出ます。更に耳鼻科疾患の慢性副鼻腔炎の患者さんは、何年も咳で悩んでいらっしゃいます。ですから、咳が出るから、咳止めを出せばいいと言いうわけにはいかないのです。当院の初診患者の大半は、咳を主訴に来院されています。そこで私は、咳嗽問診票を改良に改良を加えることにより(現在も改良中ですが)、かなりの確率で問診だけで診断が絞られるようになりました。咳止めだけでは咳は止まらないのです!

2018/06/12

 

減りました!

気管支喘息の患者さんは、減りました。ではなくて、重症の気管支喘息の患者さんは、減りましたです。かつて私が研修医のころ(約30年前)は、病棟には数人の重症の気管支喘息の患者さんが入院し、中には人工呼吸器をつけている方もいました。更に、入院はしないまでも、外来には、その異常に分厚いカルテの中身を覗くと、盆と正月を除いてほぼ毎日点滴を受けに来る方、出勤前にわざわざ点滴を受けに来るサラリーマンの方がいましたが、最近はめっきり少なくなりました。その理由は、まだまだ北欧には及びませんが、吸入ステロイドが普及したからです。当初は、専門医ですらその効果を疑問視していました。たかがボンベに入ってる薬剤を吸入することで、発作を予防することができるとは夢にも思わなかったからです。これは、日本国民特有の気質の中に、薬は口から飲むものという偏見が根付いていたのが、一つの要因だったのかもしれません。そもそも、予防する疾患という認識がなかったのです。しかし、使用してみるとその効果は絶大で、夜間救急外来受診者、入院患者、喘息死は激減しました。普及には時間がかかりましたが、専門医が結束し、ガイドラインを作成していただいたおかげで、その使用頻度は増加しました。その代わりかどうかは定かではありませんが、慢性咳嗽の患者さんは増えた様な気がします。その中には、長年風邪として誤診されてきた、気管支喘息の患者さんも紛れ込んでいて、その方々を救い出すことが私の使命の一つと考えています。

2018/05/21

 

咳嗽(セキ)について…

咳嗽(セキ)について呼吸器内科を受診される方の大半は、咳嗽を訴えます。咳嗽の原因は、さまざまですが、今回は、アレルギー疾患以外の原因についてお話をします。最初は、呼吸器感染症についてです。代表的な疾患は、マイコプラズマと百日咳です。マイコプラズマ感染症は、肺炎の形もとりますが、気管支炎の形もとるためレントゲンでは写りません。百日咳については、小児の疾患と思われがちですが、成人でもよく見られ、見逃すことのできない疾患です。特徴は、嘔吐するほど咳で苦しみます。次は、肺結核それも気管支結核です。この疾患は、やっかいで最終的には気管支鏡が必要です。以上の3疾患は、画像診断は困難なため、血液検査が必要で、気管支結核は、それ以外にCT、内視鏡が必要です。更にこの3疾患は、家族内感染を引き起こすため、早期の診断が大切です。その次は、耳鼻科疾患の後鼻漏です。これは、耳鼻科の先生に診て頂かなければ診断は困難で、「のどの裏側を痰が落ちていく」というような訴え方をされます。それ以外の疾患で重要な疾患は、逆流性食道炎ですが、問診でおおよそ診断がつきます。最後に、残るは、心因性咳嗽です。この疾患は、治療的診断になることが多いようです。

2018/04/30

 

気管支喘息と咳喘息は同じですか?…

気管支喘息と咳喘息は同じですか?答えは、NOです。時々セキで受診される患者さんから、咳喘息と気管支喘息の違いはなんでしょうか?と質問を受けることがあります。その際は、呼気時(息を吐き出す時)に喘鳴がある方が気管支喘息ですと説明します。(咳喘息は、呼吸音は正常です)しかし、この喘鳴という医学用語がなかなか曲者で、正確に回答して頂ける患者さんは少なく、痰を出そうとする時とか、呼吸を吸い込む時にゼコゼコしますとおっしゃる方が多いのが現実です。正確には、呼気時、すなわち息を吐き出す時にする音が、ゼイゼイ、ヒューヒュと聞こえるのが喘鳴で、これは、気管支が狭くなり、痰などの分泌物があるときに聞こえます。あと、咳喘息の咳は、β刺激薬(気管支を広げる薬)の使用にて咳が良くなるのが特徴ですと教科書に記載がありますが、実際に良くなる確率は、70%位ではないでしょうか。

2018/04/22

 

本当にそうなんですか?…

本当にそうなんですか?当診療所は、呼吸器、アレルギーが専門ですので、必然的に初診の方の多くは呼吸器疾患です。その中でも、慢性のセキで困っている患者様は多く、他の医療機関で咳喘息と診断された方の中でお話をよく伺うと、咳喘息ではなくただの風邪が長引いただけというケースも以外と少なくはありません。そして漠然と吸入ステロイドを使用されているのが現状です。しかし、咳喘息なら吸入ステロイドをある一定の期間使用しなければ本格的気管支喘息に移行することから誤診によって過剰投与される結果になる訳です。その様な事を避ける為にも専門医の慎重な診断が必要なのではないかと考えております。感冒による長引く咳に対して吸入ステロイドを使用してはいけないと言ってるわけではなく、その際の診断を安易に咳喘息と言って欲しくはないと言うことです。

2018/04/21

 

早めの受診をお願いします。…

早めの受診をお願いします。前回の投稿で、気管支喘息は、診断が難しい疾患であることを述べさせていただきました。今日来られた患者さんは、専門医が診察すればすぐに診断することができた方でしたが、長い間診断がつかずにクリニックを転々とされてきました。その理由の一つとしては、自覚症状が乏しかったということがあげられます。このような方は、時々見られるのですが、長年の発作のために自分自身の体が慣れてしまい、少しくらいの発作では症状が現れないようです。このことが診断を遅らせ、しいては慢性の喘息に移行させてしまう要因の一つとなるのです。これを回避するためには、2週間継続する咳、痰、息切れがある場合は、当院を受診してください。今日の患者さんは、大田区の医師が掲載されている本で当院を知り来院されました。

2018/04/20

 

気管支喘息は、かつて最悪な場合には…

気管支喘息は、かつて最悪な場合には、死にも至る病でしたが、現在では、薬物治療が進歩し、多くのぜんそくはコントロールが可能となりました。ところが、正確な診断ができる医師は少なく、「重度なぜんそく」については95%が誤診とされています。夜間の呼吸困難や喘鳴(息を吐き出す際に、ゼイゼイ、ヒューヒュー音がする現象)だけで気管支喘息と診断され、一般的な治療では軽快しないため、経口(口からお薬を飲むこと)ステロイドを増量されたり、ステロイドを筋肉注射され、後戻りできないほどのダメージを受けた方や、更には、ステロイドが無効な場合は、高額な注射を使用されていた方もいらっしゃいました。ステロイドを大量に連日服用すると、体重増加を招くだけでなく、骨粗しょう症という骨がもろくなる病気になり、あげくの果てには骨折してしまいます。不幸にも、肉体的苦痛、経済的苦痛、副作用の苦痛を同時に受けた方が現実に存在するのです。重症喘息の95%が誤診の訳は、アレルゲン(アレルギーを起こす物)を特定しないままに、安易な治療をする医師が多いからです。すなわち正確な診断ができる医師は少ないのです。事実、わたくしも喘息の専門医とし30年間働いてきましたが、ステロイド依存の患者さんは、皆無です。今日、医学が進歩し、ステロイドが無効の患者さんには、生物由来製品という選択肢があります。実際、私の外来にはその薬を使用している患者さんが一人いらっしゃいます。その方は、私の外来を受診する前は、ステロイドを常用し、増悪時には月に2から3回救急車に乗って、夜間の救急外来を受診していました。開業後は音信不通でしたが、開業10年後にふらりと私の外来を受診されました。元来難治性でしたが、受診理由と前医での治療内容を聞いた後、迷わず生物由来製品を選択しました。するとどうでしょう。投与後、物の数か月間で、ステロイドから離脱に成功し、従来記録していた喘息日誌のピークフロー値がすぐにグリーンゾーに入り、そこから微動だに動かず、さらにはその波形が理想のさざ波状を示すようになったではありませませんか。そして、昼夜を問わず出現していた喘息症状は、ぴたりと止まり、その後、皆無になりました。みなさん想像してみて下さい。月に2から3回も救急車に乗って夜間の外来を受診しなければいけなかった人が、たった一つの薬を選択することによって、発作がほぼ完ぺきに抑えられたのです。大げさに言えば、わずかに新しい治療を加えただけで人生が180°変ったのです。このお薬は、私が大学を離れた後から治験が始まり、後輩が、「先生本当にいい薬ができましたよ」と、目をギラギラさせて私に訴えてきたことを今でも鮮明に覚えています。しかし、残念ですが、この薬の存在を知っているのはわずかな専門医だけなのです。ですから、専門医を受診しなければならないのです。そもそも、ぜんそくを正しく診断できる医師自体があまりにも少なく。私自身も治療よりも診断が難しい疾患であると痛感しています。確実に診断できるツールは、気道過敏性テストと誘発テスト、可逆性テストですが、開業医が行うには無理があります。直接のぜんそく死は、20年前の年間6000人以上から現在では1500人まで減少しています。しかし、間接ぜん息死、すなわちステロイドによる副作用(骨粗しょう症や感染症など)で亡くなる方は、今でも少なくありません。ただしこれは医学統計や死亡診断書統計には表れないので、あまり知られていないのが現状です。

2018/04/16